『ギャラクシーエンジェル(第3期)』第13・14話アニメコラム-アニメ討論室

アニメコラム集『ギャラクシーエンジェル(第3期)』第13・14話 各話の主なスタッフデータ

第14話「激辛お子さまランチ」

放映日2002年 11月 17日:コラム作成日2002年 11月 21日

あらすじ

ツインスター隊のココモとマリブが任務で、ういろうのようなロストテクノロジーを持ち帰ってきた。
保管庫窓口が不在のため、そのカウンターに置いていった二人。
しかし書類添付を忘れたことに気づき慌てて窓口に戻ってみると、ロストテクノロジーがなくなっていた。
どうやら蘭花が持ち去ったらしい。「間違って食べてしまうと大変」とエンジェルルームに駆けつけた二人が見た光景は・・

レビュー

食べた者が巨大化する第2期第4話「びっくり点心」とは逆の発想で、今度は小さくなるという話。
精神まで子供化した為、たがが外れたかのように暴れ回るエンジェル隊と、
自らの責任問題を恐れて収拾につとめつつもエンジェル隊に翻弄され続けるツインスター隊、
という構図が全編にわたって続いており、
唯我独尊・お気楽極楽のエンジェル隊とその引き立て役のツインスター隊、
という本来あるべき役回りからすると理想的な話。

銃器マニアのフォルテ、着ぐるみ(被りもの)マニアのミント、
というキャラクター設定における表面上の部分から、
ノーマッドをミルフィーユ返す人情家蘭花、ミントの趣味を知ってるらしいヴァニラ、
とりあえずボタンを押すミルフィーユ、
という性格の細かい部分まで盛り込んでいるところが面白いです。

ただし、「子供ネタ・動物ネタは反則」とよく言われるように、
今回の話がギャグ・コメディとしての面白さを発揮した話かというと大いに疑問です。
例えば翻弄され続けるココモとマリブに感情移入するのであれば、
コメディとしての面白さと言うことはできますが、
今回、受け手が感情移入したのが子供化したエンジェル隊の方であることは明らかで、
これでは「子供かわいい」が強調されただけの作画頼みの話に、少し味つけした程度に過ぎません。

「びっくり点心」のミルフィーユと他4人を、
今回のエンジェル隊とツインスター隊に置き換えてみると、
今回の話の中身がいかに薄いかということを冷静に振り返ることができると思います。
「びっくり点心」が4人のリアクションによってナンセンスという面白さを示した「アイデア」だったのに対し、
今回の話はありきたりな単なるドタバタに過ぎません。

とはいえ、子供化したエンジェル隊のふるまいや暴れ回る姿には、
子供の言動としてのリアリティも出せてましたし、
映像的にも小さくデフォルメされたキャラクターは可愛らしく、
見ていて楽しさを感じさせます。
可愛らしさを面白さと錯覚できるほどの仕上がりだったと思います。

第13話「激レア フォーチュンクッキー」

放映日2002年 11月 17日:コラム作成日2002年 11月 17日

あらすじ

とある任務が簡単に片づいたエンジェル隊。蘭花とミルフィーユは「休暇でお買い物」とウキウキ。
そこへ水をさすミント。来週は年に一度の会計監査で、書類整理の為それまでデスクワーク続きだと。
嫌がるミルフィーユ。するとその気持ちに呼応するかのように次元の裂け目が現れて全員吸い込まれてしまった。
そして、たどり着いたのは別の銀河のなかの人跡未踏の惑星だった・・

レビュー

さて本編。別の銀河、未開の惑星という舞台における「文明史」というのをテーマにしたコメディでしょうか。
最初にフォルテの銃をなくしてしまうシーンを「文明のリセット」とし、
以降原始時代のような暮らしぶりに、農耕を発展させていくヴァニラの姿の挿入から見て取れます。
蘭花が見た幻覚も「元の文明への回顧」を表したシーンともとれます。
ここまで半年。幻覚を見た蘭花がベソをかいたところで、ようやくフォルテが一念発起するわけですが、
ここに至るまでのドタバタ(特に蘭花の熊を仕留めたと思いきや巨大熊の小熊だったというネタ)
はいつもの場面設定ではお目にかかれない展開で、なかなか面白かったです。

しかし、フォルテが一念発起し紋章で場面転換した後がいただけませんでした。
盗賊となってミルフィーユ達と袂を分かった直後のフォルテと蘭花の会話が、
説明的で間延びしすぎていていましたし、
「一年後」という字幕も特に必要のないものでした
(「なんでも有り」のGAで時間的経過の明示で説得力をもたせる必然性に疑問)。
最後のオチも、よく言われている「投げっぱなし」というより創作を放棄した印象の方が強かったです。

GAとしては「中の上の出来」といったところでしょうか。
今回敢えてこのような言い回しをするのは、
今回の脚本がSF作家の野尻抱介という異色スタッフが絡んでいるためです。
野尻氏によるSF的なアプローチでGAらしい面白さを創作してくれるのでは、
という期待が高かったのですが、その期待度の割には今ひとつというのが正直な印象でした。

そこで改めて今回の話を振り返ってみると、
実はこの話、元々は先にも述べたように「文明史」が全編にわたるテーマであり、
フォルテの一念発起後の展開も、
ミルフィーユに「帰りたい」と思わせようとするフォルテ組とミルフィーユ組の攻防で、
人類文明史の変遷をたどってのドタバタを描こうとしていたのではないでしょうか。

そう考えると今回の舞台設定も納得がいきますし、
フォルテと蘭花の間延びした会話のシーンは、
本来あるべきドタバタの時間を埋めるために割かれた時間であり、
何らかの事情(監督の判断、制作上の時間的制約など)によってドタバタが省略された証左とも考えられます。
であるなら、本来の脚本における意図をより踏襲できていれば更に面白かったのでは、
と思えるのが残念でなりません。

「ジーエー」幻の第13話フォーチュンクッキー チュチュ風味

コラム作成日2002年 11月 23日

昔々、一人の男がおりました。
男はパン屋でしたが、あるケーキ屋をひいきにしていました。
男はケーキ屋を気に入るあまり、いつもそのケーキの事を周囲に訳知り顔で語っていました。
そして「自分も一度ケーキを作ってみたい」とも思っていました。
そのことを聞きつけたケーキ屋は、
「毎週発表する新作ケーキのレシピを一度まかせてもよい」と男に言いました。
男は大喜び。大張り切りでレシピを考えました。
ところがその話を知ったケーキ屋のある客は、
「いざ自分のレシピが失敗したらパティシエのせいにでもするのだろう」
と冷たく言い放ちました。
男のレシピによる新作ケーキはそこそこの評価を得ることが出来ましたが、
ある客の一言により男は貝のように口を閉ざし、
以後ケーキ屋について訳知り顔で語ることはなくなりました。
めでたしめでたし。

でも・・本当にそうでしょうか?
パン屋のケーキができるまでの話も、
パン屋が垣間見たケーキ屋の中の話も、
もう誰も知ることはできません。
パン屋の話が聞くことができなくなったのは、
客にとって本当に幸せなことだったのでしょうか?
(ナレーション:岸田今○子)

更新:2002-11-26 作成:2002-11-24 作成:ごま
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